こんにちは!
歯科医師の藤林です。
最近あったかくなってすごい過ごしやすくなりましたね!
近年、夏はとても暑いので、この気候が一年続けばいいのになあと思ってしまいます、、
今回は「歯の神経が生きているのか死んでいるのか、どうやって診断しているのか?」という点にフォーカスして解説します。
🧠 結論からお伝えすると…
歯の神経が生きているかどうかを100%正確に知るには、実際に神経を見てみないとわかりません。
つまり、歯を削って神経を露出させ、出血があるかどうかを確認する必要があります。
血が出れば、神経は生きています。逆に、出血がなければ、神経はすでに死んでしまっている可能性が高いです。
🔍 でも実際は…歯を削るわけにはいきません
もちろん、神経の状態を知るために歯を削るというのは本末転倒です。
残したい歯や神経を傷つけてしまうことになるからです。
歯を傷つけずに神経の血流を調べる技術も研究されています。
- Laser Doppler flowmetry
- Pulse oximeter
ただし、現時点では機器が大きすぎたり操作が難しかったりして、
日常臨床ではまだ使用できないというのが現状です。

そのため実際の診療では、
- 痛みの有無やその質
- 温度刺激や電気刺激への反応
- レントゲン画像
など、いくつかの非侵襲的な検査や症状の聞き取りをもとに、間接的に神経の状態を推測していきます。
🦷 神経の状態を推測するポイント
- 炎症がある神経 → 強い痛みや冷たいものにしみるなどの症状が出やすい
- すでに死んでいる神経(壊死) → 刺激に反応しない、痛みがないこともある
ただし、症状や検査結果からの判断はあくまで「推測」です。
矛盾する結果が出ることもあり、完全に正確とは限りません。
⚠️ 放置によるリスクも
「神経を取りたくない」と痛みを我慢しすぎると、
神経が死んで壊死し、根の中で細菌が繁殖。
その結果、「根尖性歯周炎」という根の病気を引き起こすケースもあります。
弱った神経は自然には治りません。
適切なタイミングでの処置が大切です。
🧪 本当に正確に知るには「生検」が必要?
もし神経の健康状態を厳密に知りたいなら、
歯を抜いて組織を顕微鏡で調べる(いわゆる「生検」)必要があります。
もちろん、現実的ではありませんよね。
🔬 今後に期待さる診断法
歯髄の診断については今も積極的に研究がされており、将来的にはもっと正確に神経の「生死」を見極められるようになるかもしれません。
今後も、当院では、欧米のガイドラインや科学的エビデンスに基づいて、診断していきます。
また、根管治療についての詳しい内容は、別の機会に書かせていただきますので、よければ見ていただければ嬉しいです。
参考文献
・Kenneth M. Hargreaves • Louis H. Berman,Pathway of the Pulp 11t